【日本株】トランプ関税、製造業への影響は? | 鈴木一之、次のトレンド銘柄を探る! | マネクリ マネックス証券の投資情報とお金に役立つメディア

関税交渉決着、先行きの不透明感が薄れる

今回はトランプ関税の影響について述べてみます。日本時間の7月23日、4ヶ月を費やした日米関税交渉が決着しました。トランプ米大統領がSNSに「日本の関税は15%」と投稿したことで交渉が一気に前進しました。

正式な合意文書が交わされなかったことから、税率を巡って2週間ほど不確実な空気も持ち上がりましたが、米国との間では改めて「15%が上限」という合意内容が正式に確認されました。日本と前後して合意に至ったEUと同程度の最恵国待遇が与えられることとなります。

適用はいつからか、日本から米国への5500億ドルの融資(投資)はどのようなスキームなのか、利益配分はどうなるかなど、まだ未確定な部分も残されています。それでも相互関税は15%、自動車関税も15%となることがはっきりしました。

企業経営、および株式市場は不確実さを嫌います。関税はトランプ政権の発足以前と比べれば大幅な引き上げとなりますが、2025年4月に発表された当初の税率(24%、その後25%)と比べれば大幅な改善です。最悪の事態は回避されたとの評価が強まり、IMFは世界経済見通しを引き上げました。8月に入って日経平均とTOPIXは史上最高値を更新しています。

明暗分かれる自動車業界

関税の影響が大きいのが自動車産業です。トヨタ自動車(7203)は今回の2026年3月期・第1四半期の決算において、通期の営業利益の見通しを3.8兆円から3.2兆円に下方修正しました。

3ヶ月前の決算発表では、関税の影響を4-5月の2ヶ月分のみ計上していました。それを今回、通年の見通しとしてあらためて計上したことが引き下げの理由です。営業利益ベースでは1.4兆円の影響があると見積もっています。

対照的なのが本田技研工業(ホンダ)(7267)です。ホンダは3ヶ月前、関税の影響を通年で▲6500億円の営業利益の減益要因として計上しました。その上で、関税を加味した営業利益は通期で5000億円(前年は1.21兆円)、関税の影響を除いた場合は1.40兆円としていました。

今回の第1四半期の決算でホンダは、関税の影響を実額で▲1246億円としました。単純に年換算すると▲4984億円になり、3ヶ月前の▲6500億円を2割以上、下回ります。第1四半期の実績の営業利益は2441億円ですが、これには関税の影響分▲1246億円と米国のEV損失引当金▲1134億円という一過性の損失が引かれています。これらを除いた本業ベースの営業利益は4821億円で、前年の4847億円をわずかに下回るだけにとどまります。

ホンダの決算をはじめ、他の自動車メーカーや輸出型製造業の決算内容は「想像していたほどには悪くない」という水準に落ち着いています。

株価は割安?ホンダ系自動車部品メーカーをピックアップ

15%の関税は確かに以前と比べれば重い内容ですが、コスト削減や製品価格への転嫁によって時間をかけて吸収しうる水準です。警戒心が先に立って割安状態に売り込まれた企業の株価はここから水準訂正が進むのではないかと期待しています。

ここではホンダ系自動車部品メーカーに注目してみます。

エフ・シー・シー(7296)

クラッチの専業メーカーでホンダ向けが主力。クラッチで培った摩擦材の開発から製品の組立まで一貫生産する。二輪車向けでは世界トップ。ホンダが筆頭株主で発行株数の20.9%を保有する。ホンダ自身も四輪では苦戦するが二輪はインドを中心に好調を持続。「電費」(ガソリン車の燃費に相当)の向上、車体の軽量化、熱マネジメント、温暖化ガス削減など次の成長分野を育成中。

【図表1】エフ・シー・シー(7296):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週) 出所:マネックス証券ウェブサイト(2025年8月14日時点)

テイ・エス テック(7313)

四輪用シート部品メーカー。二輪車用も手がけ、売上の9割がホンダ向け。筆頭株主もホンダで18.8%を保有する。最新のシートフレームは超高張力鋼板を使用して強度と安全性を向上させながら大幅な軽量化を実現。運転中に頸部が受ける衝撃を緩和する。米国とインドが引き続き好調で、中国も回復しつつある。EVの普及によって床面はフラットになり、家のリビングのようにシートは快適になる。業績の安定成長が続くだろう。

【図表2】テイ・エス テック(7313):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週) 出所:マネックス証券ウェブサイト(2025年8月14日時点)

エフテック(7212)

ホンダ向けにサスペンション、サブフレームなど足回りの部品を供給。ホンダが筆頭株主で発行株数の13%を保有する。ホンダ以外にもゼネラルモーターズ[GM]、日産自動車(7201)、スズキ(7269)、トヨタ自動車(7203)と取引がある。リアサスペンションビームは自動車の後方かつ一番下にある骨組みで、サスペンションとボディを支え自動車の運動性能の最も基礎となる部分を構成。北米は好調を維持したが生産不振の中国で構造改革を実施。前期は最終赤字を計上。今期の回復に賭ける。

【図表3】エフテック(7212):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週) 出所:マネックス証券ウェブサイト(2025年8月14日時点)

ミツバ(7280)

モーターを中心に電装品を供給。ワイパー用モーターが代表的で、ほかにもパワーウインドウ、ドアミラー、パワステなどモーターシステムを供給。ホンダ向けが売上高の5割近くを占める。ホンダは大株主の第5位で3.6%を保有。創業以来、自社の生産ラインは自社で作るという伝統を受け継いでいる。外部の技術も活用して設備や金型を開発。構造改革は一巡し、自動車の電動化が進む中で2028年3月期に売上3300億円を目指す。

【図表4】ミツバ(7280):週足チャート(移動平均線 緑色:13週、橙色:26週) 出所:マネックス証券ウェブサイト(2025年8月14日時点)

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